断念せよ
すこし前になるが、ある1組の夫婦がアメリカ人女性のお腹を借りてこどもを作った。いわゆる代理母である。アメリカで生まれたので国籍はアメリカになる。そのことに抗議し、訴えると・・・その後どうなったかはわからないが、いくら自分達の子供でもアメリカの女性がアメリカで産んだ子供の国籍はアメリカになる。そんな事は自明である。知らなかった、のだろうか。
子宮癌になり子供が出来なくなった。それで体外受精など試みたものの思わしい結果が得られなかった。しかし「自分達の子供がどうしても欲しい」という気持ちを捨てきれず、アメリカ人女性の子宮を借りて目的を達成した。と・・・。それを見た時の感想は「なぜそこまでやるの?養子をとればいいのに」と思った。自分達の遺伝子を持った子供が欲しいという気持ちも分からぬではないが・・・。ひょっとして養子の方が優秀という可能性もある。費用もかなりかかるだろう。「自分達の子供がどうしても欲しい」という思いの行き着く先は?クローン人間?
臓器移植にも同じことが考えられる。もし、自分の子供が「臓器移植でしか助かる道はない。」と言われれば、ほとんどの親はそうなればと1度は願うだろう。しかし、臓器移植が出 来るということは、一人の人間の『死』があるのだ。私は「臓器移植」には反対している。『脳死』は人の死ではなく、心臓死をもって人の死と考えている。臓器を取り替えるという行為は、どうしても医療とは思えない。傷んだパーツを(臓器を)取り替える・・・自動車の修理と同じようなことではないか。(費用もかなりかかるだろう。)
現在、日本で行われている『脳死判定基準』も十分とは思えない。アメリカでは外国人に臓器を提供するな。という声も出ている。日本人の提供者もまだ少ない。費用の面で外国には行きにくい。移植医療に携わる人は出来るだけ新鮮な臓器が欲しい。それやこれやで『脳死』に関する法律を変えようという動きが出てきた。現在は家族の同意があっても本人の意思が確認できないと、臓器摘出は出来ないことになっている。(15歳以下の人からも取れない)それを、本人の意思が確認出来なくても家族の同意だけで臓器提供が出来るようにしようというのである。とんでもない!そのようなことを許してしまえばだんだんエスカレートしていくのは目に見えている。何しろ移植医は「出来るだけ新鮮な臓器」が欲しいのである。それもなかなか出来ないとなると・・・クローン技術を使って臓器を作ろうと誰しも考えるだろう。
子供のない夫婦は沢山いる、生きたくても生きることが出来ない病がある。ということに思いを馳せれば・・・「どうしても自分の子供が欲しい」、「わが子の命を救うために臓器が欲しい」という欲望は少し軽減するのではないだろうか。欲望を満たすためにどこまでも行く、欲望の行き着く先は?私は思う「人間、時には断念することも必要ではないか。」と。


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